2011年5月8日日曜日

科学技術論(リスクマネジメント2)

前回はリスクマネジメントの中のリスク分析について考えました.
今回はリスクマネジメントの中のリスク管理について考えてみます.
特にリスク管理のプロセスの中のリスクアセスメントにフォーカスを当ててみます.

【リスクアセスメント】
リスクの大きさを評価し,許容できるものか否かを決定するプロセス

特に以下のようなプロセスを踏む
1.リスク因子により財務基盤にどのような悪影響を及ぼすか
2.それによりどのリスク因子から対処をしていくか
3.リスク対処のパフォーマンスを財務基盤への影響を考え検討する

またリスク管理において重要な概念である
「固有リスク」「統制リスク」「派生リスク」「発見リスク」
も考えなければいけない.
まず固有リスクとは「それ事態がはらんでいるリスク」であり
統制リスクは「統制活動によって固有リスクを防止できないリスク」
派生リスクは「あるリスクにより発生する他のリスク」
発見リスクは「固有リスク自体の発見をできないリスク」
である.

まず,再び旬な原発関連で話しを進めていくとします.
固有リスクとして最初に「津波による予備電源の損失」とします.
そうしますとまず,リスク回避策として「防潮堤の設置」が施されます.
しかし,統制リスクには「防潮堤により津波が回避できない場合」が挙げられます.
その後派生リスクとして「循環器系の停止」となりさらに派生リスクとして「炉内圧力上昇」→派生リスク「炉の暴走」→・・・・→派生リスク「炉の爆発」
などなど派生リスクの連なりでハザードに繋がるという考え方をします.
ちなみに考え方で派生リスクが固有リスクになるのは用意に理解できると思います.

このようにして,大事故は小さなリスクの連なりから発生している
そしてそのリスクの連鎖をどこで止めるかがリスク管理の真髄となるでしょう.

このリスク管理の段階では,とりあえず出されるだけ出す「リスク」を評価します.
それは「核爆発」から「階段をこける」レベルまで評価される事もある.
つまり「階段をこけなければ核爆発は防げた」という論理展開が出来るのがリスク管理です.
だからと言って,「階段をこける」というものを防ぐ必要があるのか.
防げるがあまりにもコストがかかる場合は・・・などなど出てきます.
その時に関するのが「許容リスク」です.

この「許容リスク」は「存在するリスクを放置し,ハザードとなってもそれを許容できるリスク」
という意味です.
なぜならば次の派生リスクに連鎖する確立が低くさらに,リスクがハザードとなっても許容できるレベルの損害リスクと財務基盤を持っている.からです.
つまりリスクは放置される事もあるというのが事実でしょう.

つまり,リスク管理とは前回もいいましたが「リスクを回避する」「リスクを低減する」を同時に行うものです.
ハザードを「許容リスク」まで低減させるという認識が必要です.

これらを踏まえて,現在の原発で問題となるのは
・原子力事故は「起きない」という前提
・確率という概念が日本人には馴染みが薄い
のとなるでしょう.

まず,原子力事故は「起きない」という前提でなければ
原子力反対派から強烈な批判をうけてしまう.
また事故の確率が数千年に1度といっても
「明日起きる可能性がある」と言ったらそれは「事実」であるため
一般市民や偉い人は必要以上に不安に感じてしまう.
そのため,リスク管理について十分行われていたのかと聞かれれば
NOでしょう.

このようにして,電力業者は甘い見積もりしかすることが出来ず
許容リスクをはるかに超えたハザードを引き起こす,派生リスクを抑えることもできない
さらに「原子力事故は起きない」という前提のために
「原子力事故」は「想定外」のものとなってしまったと結論づけられる.

リスクが無いと言えば,国民も安心する
反原発派の理論を抑えることが出来る
何かあれば「想定外」として片付ける

このような流れが問題だと考えられます.

実は,同じ理論が米国でも行われており
それが日本と同じように原子力事故(スリーマイル島事故)でおいて問われ
米国ではその後この「リスクマネジメント」について活発に議論されるようになり
現在に至ります.そのため米国の原子力事故におけるリスクマネジメントは非常に優れたものとなっており
航空機テロで原子力設備が攻撃された場合も想定され
事故が起きた時はどのように市民を非難させ,自由を制限する法整備も行われております.
それは,事故の結果と言われております.


【まとめ】
重大な「派生リスク」を抑えるための「リスク回避」も重要だが発生したリスクを最小限に抑える「リスク低減」も重要である.
そのため,「リスク発生」がないという想定は間違っている.

再びリスクマネジメントが原子力事故の説明になって
本論を語りつくせてない気がしますが
これで終わります.

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