2011/10/5 にて慶應義塾大学の日吉キャンパスで飯田哲也氏の講演会があった.
twitter上で散々非難している人物なので一度ぐらいは話しを聞かないとと思っていたのでいい機会でした(主催が憲法9条の会ってのが気になりますが)
まず飯田哲也氏の紹介です(wikipediaより)
山口県都濃郡都濃町(現周南市)出身。周南市立中須小学校に入学、のち山口県立徳山高等学校理数科を経て、1977年、京都大学工学部原子核工学科に進む。在学中ワンダーフォーゲル部に所属し、年間100日くらい山に入っていた。1983年、京都大学大学院工学研究科原子核工学専攻修了。同年、神戸製鋼へ入社。電力中央研究所勤務(出向)をへて、1996年、東京大学大学院先端科学技術センター博士課程単位取得満期退学。
勤務先で「原子力村」の実情に接し、矛盾を感じて退職。スウェーデンに留学し、エネルギーと暮らしの現場を訪ね歩いて人間の生活が中心に据えられた社会を再認識、「原子力村」と向き合う覚悟が固まるに至る[3]。
2000年、NPO法人環境エネルギー政策研究所を設立して所長に就任する。1992-2006年日本総合研究所主任研究員を兼務。1990-1992年スウェーデンルンド大学環境エネルギーシステム研究所客員研究員をつとめた。
中央環境審議会、総合資源エネルギー調査会、東京都環境審議会などの委員を歴任。鳩山内閣時には、中期目標達成タスクフォース委員、および行政刷新会議の事業仕分け人に指名された。環境省中長期ロードマップ委員、規制改革会議グリーンイノベーション分科会委員、環境未来都市委員などを歴任。
2011年3月の東日本大震災後、エネルギー戦略・原子力戦略、とくに「戦略的エネルギーシフト」を打ち出す。同年10月より総合資源エネルギー調査会基本問題委員会委員、内閣官房原子力事故再発防止顧問会議委員に就任。
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基本的に彼は「原発反対」「自然エネルギー推進」の先端です.
元々彼には興味があったので下準備をして色々質問しようと考えていましたが結果的にはできませんでした(理由は後述)
という事で彼の講演会の内容をざっくりと紹介
原発事故について
・原因は原子力村を代表とする官僚組織に問題がある.
・自分が正しくほかの意見を聞かずに暴走するという視点では旧日本軍と同じ思想
・本当の官僚・政治家というものが存在しない(河野議員や元福島県知事を除いて)から後手後手にまわったために被害が拡大した
・行政に大きな責任
・シビアアクシデントのため除染・廃炉に数百兆かかる
原発自身について
・そもそも原発はサイクル的に行き詰まっている(プルサーマルも×最終処理施設もない,事故ばかり)
・市場原理的にリスクテイクができないから市場的にこれから衰退するはず(賠償金が数兆円)
・国際金融機関も原子力にはお金を出さない
・本当の電力単価は非常に高い(30~8000円/kWh)
・経済優位性の無い原発は廃絶すべき
自然エネルギーについて
・自然エネルギーは膨大でありポテンシャルが高い
・欧州では非常に普及しており日本だけが取り残されている
・特に「太陽光発電」は魅力的で数年以内に市場競争性も備え他の電力を駆逐する
・その他の再生可能エネルギーも魅力的である
・実際に新エネルギー企業は時価総額も増大し他の企業を脅かしている
・普及させるためには全量買取制度などの「優れた」政策が必要である(ドイツ・スペインなど)
・政策が優れていれば直ちに自然エネルギーは普及する
環境問題全般について
・二酸化炭素の地球温暖化への影響は「ない」
・2011年が自然エネルギー革命で人類の第4の革命
・欧州のエネルギー政策は非常に優れている
質疑応答編(覚えている限り)
Q.風力発電は発電において周波数をコントロール出来ないという反論についてどう思うか
A.それは事実に基づかずひ科学的な議論でありAD変換すれば(?インバータ・コンバータでは?)
Q.国民投票の実現可能性
A.国民投票は難しいから2%の住民の直接請求できる地方自治体でまずは住民投票すべきだと思う.たとえば世田谷区などで
Q.具体的に飯田さん自身はどこに自然エネルギーの発電所を設けるべきか
A.環境省にどこに設置できるか資料があるからそれを参考にしてほしい
Q.衰退するとわかっている原子力技術に若い人材が興味が抱かないではないか.そうすると今後の廃炉作業にも影響が出る.
A.その心配はない.これらの技術はいろいろな専門家が集まればいい(核物理なら物理学者.放射線なら医療従事者など)原子力工学科がなくなっても人材は枯渇しない.むしろ放射線廃棄物の保存など崇高な職業はむしろ人気がでるはず
Q.原発は即廃止というのはどう思うか
A.別に即廃止する必要はないと思っている.別に即廃止してもいいが・・・・
Q.エネルギーシフトについて具体的にどうすべきか
A.政治主導でするしかないが,それが出来る本物の政治家や官僚はなかなかいない
Q.TPPについて
A.応える立場ではないが,あまり否定的肯定的でもなく中立的.ただ知のグローバリゼーションは必要でwin-winの関係になることを心がけるべき
Q.今後エネルギーシフトするとして日本企業が世界の市場を相手できるか
A.それはこれから次第であり,現在以上の超高付加価値を行う必要がある.
こんな感じでした.
以下私の彼の意見への反論や突っ込みなどです
話しの持って行き方
彼は非常に話し上手だったのだが,注意していないと気付かない点がいくつかあった
彼の話しの流れは
1.原子力は市場優位性は低いし問題だらけ
2.一方自然エネルギーはクリーンでポテンシャルも豊富で欧州を中心に盛んである
3.故に日本も脱原発ができるはず
と市場原理を持って来ましたが原発問題については日本だけ
自然エネルギーについては欧州だけで日本にどれだけ適合性があるかという話しが全くありませんでした.
それでいて日本で導入を勧めるべきっていうのは少し暴論かなと
自然エネルギー企業の勃興
彼の主張では「自然エネルギー企業は時価総額では世界の企業に片を並べるほどであり,市場優位性もある」という事で出された資料は2008年のもの
残念ながら,現在は2011年でその後新エネルギー企業がどうなったかというのはかなり変化があります.
Q-cells(太陽光発電設備メーカ)の時価総額は2008年から10分の1
First SOLARは5分の1と
彼の主張で出てきた企業は事ごとく経営危機を迎えています.
このような事実を無視して「市場性がある」というのはどうなんですかねと
本当の電力単価
本当の電力単価で原発をかなり大きく見積もっていましたがそれは全ての発電に適応しなければFairではないのではないかと思いましたね
まず.太陽光発電など自然エネルギーについては全量買取制度に基づく税金も勘案しないといけませんし当然処理費用などもろもろも勘案しないといけません.
それらを語らずに自然エネルギーが優位性があるというのはいかがなものかな?
自然エネルギーの普及
彼の論理では「市場優位性」から自然エネルギーが普及しているかのような言い方ですが,果たしてどうだろうか
私には全量買取制度がなければ普及できない市場優位性など無いと思います.
実際ドイツもスペインもFITなど電力買い取り制度のお陰で普及しています.
決してそのような政策が悪いといいませんがこのような政策をした国の末路を知っていると簡単に賛成はできません.
簡単に言えばこの制度は「成り立たない」からであり,実際にドイツは買取料金を下げた上に期間を短くして訴訟沙汰にもなっています
スペインでは急激な自然エネルギー推進による負担もあり財政危機に陥っており,この制度は数年で廃止されることは決まっています.
そのような事実は完全無視ですかね
各国の事情を勘案しない
ドイツの電力体制はとなりの原発大国であるフランスありきで成り立っていること
同じようにスペインももフランスのおかげでなりたっている
アメリカの事情ではカルフォルニアについて語るが隣の州について触れもしない,電力融通を受けているのに
これらの国は地域で電力融通ができるが日本ではそういう事ができなく列島中でなんとかしないといけないという前提を考慮していない
レッテル張りが好き
全体的にきになったコトだが,原子力村や非科学的,旧日本軍的,妄想家,など理論もなくネガティブな印象を与え議論をしない印象をうけました.
私からみたら彼の方が非科学的で妄想家であろうとも
以上の事が彼の主張に対する私の意見です.
彼の主張などはなかなかつっこみどころ満載でしたが,同意すべき点は多くありました
しかし問題は聴衆で,疑いもせずに賛美する人が多く見られました
そして,老人たちが「みらいのため」と語っているのが少し滑稽でしたね
少しも未来を考えていなく保身しか考えていないあたりが
それと憲法9条の会が主催しているだけあって,そのつてで集めた人が多かったです
そしてとても怖い雰囲気でした.つまり「反対する意見する奴は人間ではない」そんな雰囲気でしたね.
酔いながら書いているので少々拙いですが今日はこのへんで
本来書く予定だった原発問題とゲーム理論は今書いている途中でその次はTPPとかについてやろうかなって思います
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